【介護施設の採用成功事例から学ぶ 第2回】求人票改善のポイント

採用市場の現状 ― 人材不足時代を生き抜くために

採用活動を担当している方であれば、求人を出しても応募が集まらない、内定を出しても辞退されてしまう、せっかく採用しても定着しない――こうした悩みを日々実感されているのではないでしょうか。背景には、採用市場全体の大きな変化があります。ここでは、現在の採用市場の現状を整理し、採用担当者が理解しておくべきポイントを解説します。

有効求人倍率の高止まり
厚生労働省の発表によると、日本全体の有効求人倍率は直近でも1.2倍前後を維持しています。つまり、求職者1人に対して1.2件の求人がある状態です。これだけでも人材獲得は容易ではありませんが、業種によってはさらに厳しい状況が見られます。
特に介護・看護・保育といった福祉分野では有効求人倍率が2〜3倍以上になるケースも珍しくなく、地方ではさらに高くなる傾向があります。これは、求職者にとって「選びたい放題」の状況であり、施設や企業側からすると「選ばれなければ応募が来ない」環境であることを意味します。

少子高齢化による労働人口の減少
採用市場が厳しさを増す大きな要因のひとつが、労働人口の減少です。日本はすでに生産年齢人口(15歳〜64歳)が減少局面にあり、今後も働き手の数は確実に減っていきます。その一方で、介護・医療サービスの需要は高齢化の進展に伴って増加し続けています。
つまり、「働き手は減るのに、必要とされる人材は増える」という逆転現象が起きており、採用市場の競争は今後も続くことが予想されます。

求職者の価値観の変化
従来は「給与が高い」「安定している」ことが求人選びの大きな軸でしたが、最近の求職者はそれに加えて働きやすさや職場環境を重視する傾向が強まっています。
具体的には、以下のような点が注目されます。
ワークライフバランス(休日の多さ、残業の少なさ)
人間関係の良さや風通しの良さ
成長できる研修制度やキャリアパス
ライフイベントへの柔軟な対応(育児・介護との両立)
求人票や採用ページでこうした情報を十分に発信できていないと、他社に埋もれてしまい応募を得られにくくなります。

情報収集手段の多様化
求職者はハローワークや求人誌だけでなく、求人サイト、SNS、口コミサイトなどさまざまな情報源を活用しています。特に若い世代は「公式の求人票よりも口コミや体験談」を信頼する傾向が強く、採用市場において「情報の透明性」が以前より重要になっています。
例えば「給与はそこそこでも、雰囲気が良いと口コミに書かれていたので応募した」というケースも増えており、従来の求人票だけに頼る採用手法は通用しにくくなっています。

採用コストの上昇
人材確保が難しい状況では、求人広告費や人材紹介手数料など、採用にかけるコストが年々増加しています。以前であれば数万円の広告掲載で複数の応募があったものが、今では何十万円かけても応募が数件しか来ない、といったことも珍しくありません。
これは企業や施設の経営に直接影響を与える問題であり、「採用市場の厳しさ=採用コストの上昇」として現場に重くのしかかっています。

採用市場の今後の見通し
今後も労働人口の減少と高齢化は進みます。つまり「採用難」は一時的なものではなく、中長期的に続く構造的な課題です。
このため、採用担当者には次のような視点が求められます。
求人票の改善:応募したくなる情報を丁寧に記載する
自社の強みを明確化:給与以外の魅力(環境・制度・文化)を伝える
定着率の向上:採用だけでなく「辞めさせない」仕組みづくり
採用チャネルの多様化:求人サイト、紹介会社、SNS、学校連携など

まとめ
採用市場は、少子高齢化による労働人口の減少、求職者の価値観の変化、情報収集の多様化といった要因により、今後も厳しい状況が続くと考えられます。採用担当者にとって重要なのは、「人材が集まりにくいのは構造的な問題である」という認識を持ちつつ、自社の求人情報や採用方法を改善し続けることです。
求職者が「ここなら安心して働けそうだ」と感じる情報をどれだけ提供できるかが、採用成功のカギを握っています。採用市場の現状を正しく理解し、戦略的に動くことで、厳しい状況でも応募を増やし、安定した人材確保につなげることができるでしょう。

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