看護師の転職では、給与や勤務時間に加え、受け持ち患者数や業務量、職場の人間関係なども重要な判断材料です。
「実際に働いてみたら想像と違った」「聞いていた業務内容よりも負担が大きい」など、入職して初めて分かる職場の実態に悩まされる方も少なくありません。
そこで今回は、転職経験がある看護師77名を対象に入職後のギャップに関するアンケート調査を実施しました。
転職先選びで後悔しないために、事前にどのようなポイントを確認しておくべきなのか詳しく解説します。
なお、今回の調査で明らかになった注目すべき結果は以下のとおりです。
- 看護師の約8割以上が入職後にギャップを感じた経験がある
- 事前に確認しておけばよかったことは「1人あたりの受け持ち患者数・業務量」が最多
- 次回の転職で重視する条件は「職場の人間関係・雰囲気」が最多
「自分に合った職場の選び方が分からない」「次の転職は失敗したくない」という方は、ぜひ参考にしてください。
| 調査概要 ・調査名称:看護師の入職後のギャップと転職先選びに関する実態調査 ・調査方法:クラウドワークスを利用したインターネット調査 ・調査期間:2026年10月14日~2026年10月21日 ・調査対象:転職経験がある看護師 ・有効回答:77名 |
看護師の約8割以上が「入職後にギャップを感じた」と回答
転職経験がある看護師の約8割以上が入職後にギャップを感じていることが分かりました。

転職経験がある看護師77名へアンケートを実施したところ、最多となったのは「ある程度ギャップを感じた」の56%でした(単一回答)。
次いで「大きなギャップを感じた」が29%となり、多くの方が入職前のイメージと実際の職場環境との間に何らかの違いを感じている結果となっています。
一方で、「あまり感じなかった」は13%、「まったく感じなかった」はわずか2%にとどまりました。
このことから、事前の求人票や面接時の情報だけでは職場のリアルな実態を把握しきれず、働き始めてから「想像と違っていた」と戸惑う看護師が多い実態がうかがえます。
入職後のギャップが働き方に与えた影響
今回の調査では、入職後のギャップが退職・転職を考えるきっかけになるケースがあることが分かりました。
ギャップがその後の働き方に与えた影響を尋ねたところ、「退職・転職を考えた」と答えた方が42%で最多となっています(単一回答)。
さらに、30%の方は「実際に退職・転職した」と回答しました。
なお、残りの28%は「影響はなかった」「ギャップは感じていない」と答えています。
これらの結果から、全体の7割以上が離職を検討するか、実際に職場を去る選択をしていると考えられます。
入職前に職場選びのミスマッチを防ぐことが、長く安心して働き続けるうえでいかに重要であるかが分かる結果です。
看護師が入職後に感じたギャップは「想像以上の残業量」が最多

看護師が入職後に直面したギャップとして最も多かったのは、「想像以上に残業が多かった(17%)」という結果でした(単一回答)。
次いで、「教育や業務のフォローが十分ではなかった(14%)」「入職前に聞いていた仕事内容と違った(13%)」と続いています。
さらに、「受け持ち患者数や業務量が多かった」「希望休や有給休暇を取得しにくかった」「給与・手当・賞与が想定より少なかった」がいずれも10%という結果になりました。
他に「同僚や上司に相談しにくい雰囲気だった(6%)」や「夜勤の回数や勤務シフトが想定と違った(5%)」といった声も一部で見受けられます。
これらの結果から、求人票に記載されている表面的な情報と実際の現場の状況に乖離が生じていると考えられます。
看護師が転職前に確認しておけばよかったことランキング

「転職前に確認しておけばよかったこと」の第1位は、「1人あたりの受け持ち患者数・業務量(32%)」でした。
アンケート調査(複数回答)の全体ランキングは以下のとおりです。
- 1位:1人あたりの受け持ち患者数・業務量(32%)
- 2位:実際の残業時間(27%)
- 3位:給与・手当・賞与の具体的な支給条件(26%)
- 3位:入職後の教育・サポート体制(26%)
- 5位:看護師の離職状況・定着率(23%)
- 6位:希望休・有給休暇の取得状況(16%)
- 7位:上司や同僚への相談のしやすさ(14%)
- 8位:夜勤回数・夜勤時の看護師の人数(10%)
多くの看護師が日々の業務負担に直結するリアルな数字や実態を事前に知っておくべきだったと感じているようです。
特に、受け持ち人数や残業の有無は現場ごとに差が大きいため、面接や見学時に質問しておくことが後悔のない職場選びにつながると考えられます。
看護師の体験談 | 確認しておけばよかったと後悔した出来事
実際に転職経験がある看護師へ後悔したエピソードを尋ねたところ、求人情報と現場のリアルなギャップが見えてきました。
以下で代表的なエピソードを紹介します。
| 面接や求人票では「前残業なし、定時退社を推進している」と説明されていたものの、実際に入職してみると始業40分前には情報収集のために前残業するのが暗黙のルールとなっていました。また、業務終了後の看護記録や委員会活動などの事務作業が勤務時間内に終わらず、毎日2時間以上のサービス残業が当たり前になっていたことです。見学時や面接時に、具体的な残業実績や前残業の有無について詳しく聞いておけばよかったと後悔しました。(20代) |
| 面接時には「ブランクや中途採用者へのサポート体制が整っており、慣れるまではマニュアルに沿って丁寧に指導する」と聞いていました。しかし、実際に入職してみると慢性的な人手不足で現場の指導担当者に全く余裕がなく、初日から十分な引き継ぎもないまま業務に入らざるを得ませんでした。求人票の言葉だけでなく、中途入社者の実際の定着率や、現場で具体的にどのような指導手順が取られているのかを面接や職場見学時により深く確認しておくべきだったと後悔しました。(40代) |
| 入職後、職員同士の関係があまり良くなく、忙しいと質問や相談をしにくい雰囲気があることに気づきました。見学や面接の際に、スタッフ同士の会話、職場全体の雰囲気をもう少し確認しておけばよかったと思いました。(30代) |
これらの体験談からも、面接でのうたい文句を鵜呑みにせず、現場の忙しさやスタッフ間の雰囲気を自分の目で確認しておくことが大切です。
看護師の約6割が「求人票・募集要項」で情報収集をしていた
転職前に応募先の勤務条件や職場環境を確認していた方法を尋ねたところ、「求人票・募集要項」を活用していた方が57%で最多となりました(複数回答)。
次いで多く用いられていたのは「転職エージェント(35%)」や「採用面接での質問(30%)」でした。
他にも、以下のような方法で情報収集を行っていた方がいました。
- 病院・施設の公式サイト:26%
- 職場見学:23%
- 現場で働く看護師や知人からの情報:12%
- 口コミサイト・SNS:10%
- 労働条件通知書・雇用契約書:5%
この結果から、半数以上の看護師が転職先の情報を収集する手段の一つとして求人票や募集要項を活用していたことが分かります。
しかし、書面だけでは実際の業務負担や職場の雰囲気まで十分に把握できないケースも少なくありません。
求人票の情報をベースにしつつ、職場見学や第三者からの客観的な情報をいかに組み合わせていくかが、転職のミスマッチを防ぐうえで重要になると考えられます。
求人情報だけでは「職場の人間関係や雰囲気」が分かりにくいとの回答が最多

今回のアンケートでは、求人情報だけでは実態を把握しにくい項目として、「職場の人間関係や雰囲気」を挙げた方が60%で最多となりました(複数回答)。
また、48%の方は「実際の残業時間や業務量」と答えています。
他にも「有給休暇の取得しやすさ」「教育体制やサポートの実態」「配属先での具体的な業務内容」がそれぞれ26%という結果でした。
これらのデータから、人間関係や実際の業務負担といった、現場に入らないと直接見えづらい要素が、求人情報だけではカバーしきれない部分であることが分かります。
条件面が魅力的な求人であっても、実際のスタッフ間の空気感や業務のペースを知るために見学を申し出るなど、もう一歩踏み込んだ情報収集を行うのがおすすめです。
看護師が次回の転職で重視したい条件は「職場の人間関係・雰囲気」

次回の転職で最も重視したい条件として、全体の25%にあたる方が「職場の人間関係・雰囲気」を挙げました(単一回答)。
「職場の人間関係や雰囲気」は、求人情報だけでは実態が分かりにくい項目でもあります。
だからこそ、次の職場選びでは人間関係を見極め、失敗を防ぎたいという思いがうかがえます。
また、「残業時間・業務量の少なさ(19%)」「給与・手当などの収入(18%)」という回答が続きました。
生活の基盤となる収入面は確保しつつも、身体的・精神的な負担が少ない環境で、心身ともに健やかに働きたい看護師が多いと考えられます。
前回の転職で重視した条件との違い
今回の調査では、前回の転職時に重視していた条件と、次回の転職で重視したい条件に違いがみられました。
前回の転職で最も重視した条件は「給与・手当などの収入(22%)」でした(単一回答)。
しかし、次回の転職では「職場の人間関係・雰囲気」が前回の14%から25%へ増加しています。
さらに、「残業時間・業務量の少なさ」は10%から19%へ、「教育・研修・サポート体制」は0%から9%へ増加しました。
一方で、「勤務地・通勤時間」を重視する声は16%から4%へ減少しています。
こうした結果から、次回の転職では人間関係や業務負担、入職後のサポート体制など、長く安心して働き続けられる職場環境をより重視したいと考える傾向がうかがえます。
看護師の転職では入職後のギャップを防ぐための事前確認が重要
入職後のギャップを防いで納得のいく転職を叶えるためには、実際の勤務状況や現場の実態を事前確認することが重要です。
今回の調査では、転職経験がある看護師の約8割以上が入職後に何らかのギャップを感じており、特に業務負担に対する後悔が多いことが分かりました。
また、「職場の人間関係や雰囲気」を次回の転職で重視したいと考える方が多いことからも、長く働ける職場を見極める難しさが浮き彫りになっています。
これから転職を考える看護師の方は、求人情報だけを判断材料にするのではなく、複数の手段を組み合わせて情報収集を行うのがおすすめです。
一方で、医療機関や施設の採用担当者にとっても、入職後のミスマッチは早期離職につながる課題となります。
「実際の業務量や勤務体制」「具体的な教育・サポート体制」などを、面接や見学の段階でできる限り提示することが、結果的に長く定着する人材の確保につながるといえるでしょう。
| ■本アンケートの引用について 本アンケート結果を引用する場合は、必ず「株式会社ANNO-P」の明記と山口介護・看護・保育求人センターのURL(https://anno-p.co.jp/)の記載をお願いします。 |
